Take-Twoが反撃開始――MicrosoftとDiscordに召喚状、GTA6リーカー追跡が法廷へ

8月18日以降、GTA6の未公開ゲームプレイとされる映像がインターネット上に断続的に流出している。流出を主張する「Cyberleek」は「ゲーマーの権利」を掲げ、デジタル予約販売や物理ディスクをめぐってゲーム業界への要求を突きつけ、その後も新たな映像を公開してきた。さらに一部の映像からは、単に録画済みの動画を所持しているだけではなく、何らかのプレイ可能なGTA6ビルドへアクセスしているのではないかという疑惑まで浮上している。

Rockstar Gamesは表向き、この騒動について大きな声明を出していない。しかし、その裏側では親会社Take-Two Interactiveがすでに動き始めていた。

8月20日、Take-Twoは米ニューヨーク南部地区連邦地方裁判所に対し、GTA6リークに関連する記録をMicrosoftとDiscordから取得するためのDMCA召喚状を申請したと報じられた。要求されているのは単なる投稿削除ではなく、アカウント情報、メールアドレス、IPアドレス、電話番号、関連サービス、デバイス情報、さらに場合によってはOneDriveに保存されたGTA、Rockstar、Cyberleek関連データまで含まれる。

つまりTake-Twoは、流出した映像を消すだけの段階から、その映像を流した人物を特定する段階へ進んだことになる。

「GTA 6 INVESTIGATION」と書かれたマグカップの横に、Leonidaの地図とVice City・Port Gellhorn・Grassrivers・Ambrosiaといった地名のメモをピンで留めた机のイメージ

本記事に掲載している画像はすべて、内容を分かりやすく伝えるためにAIで生成したイメージ画像であり、実際の法廷資料・流出素材・企業の内部資料ではない。


Take-Twoが裁判所へ向かった理由

Take-Twoが求めているのは、MicrosoftとDiscordが保有している利用者記録だ。今回利用されたと報じられているのは、米デジタルミレニアム著作権法、いわゆるDMCAのSection 512(h)に基づく手続きで、著作権者がオンラインサービス事業者に対して、著作権侵害を行った人物を特定するための情報開示を求める際に使われる。

連邦地方裁判所の書式に「SUBPOENA」「PURSUANT TO 17 U.S.C. § 512(h)」と記された書類と、MicrosoftとDiscordのロゴ、木槌を並べたイメージ

ここで重要なのは、Take-TwoがCyberleek本人を相手取って損害賠償請求を起こしたわけではないことだ。現段階はその前にあたる身元特定のフェーズであり、Take-Two側はリークに関与した人物を割り出し、自社が保有するGTA6関連の著作物を保護するために情報を集めようとしている。

対象となる著作物には、ゲーム映像や画像だけでなく、アートワーク、台詞、そのほかGTA6に含まれるクリエイティブ要素も含まれていると報じられている。数日前までTake-Twoが行っていたのは、ネット上に出回った映像に対する削除対応だったが、現在はその背後にいる人物まで追跡しようとしている。


なぜMicrosoftが対象になったのか

Discordが対象になる理由は比較的分かりやすい。Cyberleekやリーク関連のコミュニティがDiscord上で活動していたのであれば、アカウントの登録情報やログイン履歴は身元特定の有力な手掛かりになる。

オフィスビルの前に並ぶMicrosoftとDiscordの看板のイメージ

一方で、今回もう一社の対象になったMicrosoftについては、「Xboxを運営しているから」という単純な理由ではない。法廷資料を確認した海外メディアの報道によると、Take-TwoはCyberleekという名称に関係するMicrosoft側の内部記録に加え、登録メールアドレス、IPアドレス、電話番号、リンク済みアカウント、デバイス情報などを求めている。

さらに注目されているのがOneDriveだ。リークに関係するGTA、Rockstar、Cyberleek関連のコンテンツがMicrosoftのクラウドストレージに保存されていた可能性を想定し、関連アカウントの記録も情報開示の対象に含まれていると報じられている。

また、今回のリーク素材の保存やリンク共有に使われた可能性があるGitHubなど、Microsoft傘下のサービスも調査上の接点として挙げられている。つまりMicrosoftは単なるゲームプラットフォーム企業としてではなく、Cyberleekが利用した可能性のある複数のオンラインサービスを保有する企業として調査の対象になっている。


Discordには複数アカウントの情報開示を要求

Discord側に対する要求もかなり具体的だ。報道によれば、召喚状には「CYBERLEEK」「CINEMATICROCKSTAR」「Surfer24k」など複数のハンドルネームが記載されており、Take-Twoはそれらのアカウントに関する識別情報を求めている。

「GTA 6 LEAK INVESTIGATION」と書かれた資料袋の横に、Discordログ・Microsoft記録・OneDriveデータ・IPアドレス・デバイス情報・メールアカウントを列挙したメモと「CYBERLEEK Who are you?」の付箋を並べたイメージ

さらに、特定のDiscordサーバーについては2026年6月1日以降に参加または通信していたアカウントの記録まで対象に含まれていると報じられている。要求される情報にはアカウントID、登録メールアドレス、登録時や最終ログイン時のIPアドレス、電話番号、リンク済みサービス、デバイス情報などが含まれる。

この範囲を見る限り、Take-Twoは「Cyberleek」という一つの匿名アカウントだけを追っているのではなく、その人物が利用した可能性のある経路を横断的にたどろうとしている。匿名アカウントそのものが偽名でも、複数のサービスで使われたIPアドレスや登録情報、リンク済みアカウントが結びつけば、その背後にいる人物へ近づける可能性がある。


GTAコミュニティまで調査対象に含まれた

今回の召喚状では、GTAシリーズの動画で知られるDarkViperAUのコミュニティに関連するとされるDiscordサーバーの名前も記載されていると報じられ、GTAファンの間で話題になった。

ただし、この点は慎重に扱う必要がある。召喚状にサーバー名が記載されていることは、そのサーバーの運営者やDarkViperAU本人、そこに参加していたユーザーがリークに関与したことを意味しない。Take-Twoが知りたいのは、Cyberleek本人やリーク素材がそこを経由したのか、あるいは関係する人物がそこに痕跡を残しているのかという点だ。

大規模なDiscordコミュニティには数千、数万人規模のユーザーが出入りすることも珍しくない。したがって、特定のコミュニティ名が法的文書に現れたことと、そのコミュニティ自体に責任があることは明確に分けて考える必要がある。

今回の調査で興味深いのは、GTA6のリーク事件がRockstarやTake-Twoの内部問題にとどまらず、GTAを取り巻く一般のオンラインコミュニティにまで調査範囲を広げ始めた点にある。


MicrosoftもRockstarへの協力姿勢を示す

Microsoft側も今回の問題について、Take-TwoおよびRockstar Gamesと協力していることを示している。Xbox CTOのScott Van Vliet氏は、Microsoftが両社と緊密に連携し、クリエイティブ作品や知的財産を保護するための取り組みを支援しているという趣旨の発言をしたと報じられている。

現時点でMicrosoftが具体的にどの情報をTake-Twoへ提供したのかは明らかになっていない。召喚状の要求すべてがそのまま認められ、すべての記録が提供されるとも限らない。

それでも今回のリーク調査が、Rockstar社内だけで完結する問題ではなくなったことは明らかだ。Take-Two、Rockstar、Microsoft、Discord、そして米連邦裁判所という複数の組織が関わる事件へ発展している。

8月18日にSNSへ出回り始めた数本のゲーム映像は、わずか数日で大企業の法務部門と裁判所を巻き込む案件へ変わった。


一つの節目になる「9月4日」

今回の法的手続きで注目されているのが9月4日という日付だ。報道によれば、MicrosoftとDiscordに対して要求された記録の提出期限として設定されている。

連邦地方裁判所の法廷を背景に、木槌と天秤の横へ「SUBPOENA」と書かれた分厚い書類の束を置いたイメージ

もちろん、9月4日にCyberleekの実名が公表されるという意味ではない。提供されたデータが一般公開される保証もなく、Take-Twoが受け取った情報を分析し、複数サービスの記録を照合する作業も必要になる。

ただ、メールアドレスやIPアドレス、電話番号、デバイス情報、リンクされたアカウントなどが複数のサービスで一致すれば、匿名アカウントの背後にいる人物を特定するための手掛かりになる。インターネット上では「Cyberleek」という名前を使っていても、その人物が利用するすべてのサービスで完全な匿名性を維持できているとは限らない。

その意味で9月4日は、今回の事件における一つの節目になる可能性がある。


「召喚状」はCyberleekへの逮捕状ではない

今回の報道を受け、SNSでは「Take-TwoがCyberleekに召喚状を出した」「リーカー逮捕へ」といった強い表現も見られる。しかし、現時点で起きていることはそれとは異なる。

今回の召喚状の主な対象は、Cyberleek本人ではなく、情報を保有しているMicrosoftとDiscordだ。Take-Twoは両社から利用者記録を得ることで、著作権侵害を行ったとされる人物を特定しようとしている。

したがって、この召喚状は逮捕状でもなければ、Cyberleekの刑事責任や民事責任を確定する判決でもない。今いるのは、リークが発生し、削除対応が行われ、その次に証拠や記録を集めて身元を調べる段階だ。

仮に人物が特定されたとしても、Take-Twoがその後どのような法的手段を取るのかはまだ分からない。民事訴訟へ進む可能性もあれば、事実関係の確認だけでさらに時間を要する可能性もある。


2022年のリークとは違う不気味さ

Rockstarにとって、GTA6の情報流出そのものは今回が初めてではない。2022年には約90本の開発途中映像がインターネットへ流出し、当時まだ正式発表前だったGTA6の姿が大規模に露出する事件が起きた。

今回のCyberleek事件は、現時点で流出量だけを比較すれば2022年と同じ規模とは言えない。ただし、今回は別の意味でRockstarにとって厄介な状況になっている。

一部の流出映像では、Jasonが壁へ弾痕を残して「LEEK」と読める文字を作る場面があると報じられている。これが真正な映像であれば、Cyberleek側が単なる保存済み動画を入手しただけではなく、何らかの形でゲームを操作できる環境へアクセスしている可能性が出てくる。

壁に弾痕で「LEEK」と描かれた前で、拳銃を構えたキャラクターが立つゲーム画面風のイメージ。画面右上には手配度の星と所持金が表示されている

画像: 報道されている「弾痕でLEEKと書かれた場面」を分かりやすく示すためのAI生成イメージ画像。実際の流出映像ではない。

もちろん、Cyberleek本人がゲームビルドを所有しているのか、別の人物が操作して映像だけを提供しているのか、それとも別の経路なのかは確認されていない。それでもTake-Twoにとって重要なのは、すでに公開された映像の本数よりも、その背後にいる人物がまだどれだけの未公開データへアクセスできるのかという点だろう。

現在公開されている数本の動画を消して終わる問題なのか、それとも流出経路そのものを止めなければ追加素材が出続けるのか。その違いは大きい。


8月27日の「An Extended Look」は予定通り進むのか

そして今回の事件は、Rockstarにとって非常に厄介なタイミングで起きている。8月27日にはGTA6の「An Extended Look」が公開される予定で、本来なら発売に向けたマーケティングがさらに大きく動き始める節目になるはずだった。

夕暮れの海岸沿いに広がる大都市の上空を、セスナ機が飛んでいくゲーム画面風のイメージ

画像: GTA6の舞台Leonidaの雰囲気を表したAI生成イメージ画像。実際のゲーム画面や流出素材ではない。

ところが、その直前にCyberleekが現れた。ゲームプレイとされる映像が流出し、Leonida全体マップとされる画像が拡散し、その後も新たな映像が出続けた。さらにプレイ可能なビルドへのアクセス疑惑まで浮上し、Take-Twoは連邦裁判所を通じてMicrosoftとDiscordへ利用者情報を求める段階に入っている。

それでもRockstarは、少なくとも表向きには大きく予定を変更していない。リーク事件について詳細な声明を出さず、8月27日の公式公開へ向けたマーケティングを続けている。一方、その裏側ではTake-Twoの法務チームが流出元の特定を進めている。

表ではGTA6を予定通り見せる準備を続け、裏ではGTA6を勝手に見せた人物を追う。現在のRockstarとTake-Twoは、その二つを同時に進めていることになる。


Cyberleekの「Wanted Level」は確実に上がった

GTAシリーズでは、犯罪を重ねるほどWanted Levelが上昇し、追跡する警察の規模も大きくなる。今回の状況をゲームそのものと同一視することはできないが、事件の進み方にはどこか皮肉な共通点がある。

暗い部屋で複数のモニターに囲まれ、GTA6の画面と「LEAK LOADING...」の表示を前にしたフードの人物のイメージ

最初は数本の映像がSNSへ流出しただけだった。その後、追加のゲームプレイが投稿され、著作権上の削除対応が行われてもCyberleek側の活動は止まらなかった。そして現在、Take-TwoはMicrosoftとDiscordが保有する利用者記録を裁判所経由で求めている。

つまりTake-Twoが追っている対象は、もはやネット上に存在するGTA6の動画だけではない。メールアドレス、IPアドレス、クラウドストレージ、Discordアカウント、関連サービスなどをたどり、その画面の向こう側にいる人物を特定しようとしている。

GTAらしく表現するなら、Cyberleekの「Wanted Level」が上がったと言っていいだろう。ただし、ここから先はゲームのように警察車両から逃げ切れば終わりという話ではない。オンラインサービスに残された記録と企業の法務部門、そして裁判所を相手にする現実の追跡になる。

9月4日までにMicrosoftとDiscordからどのような情報が提供されるのか。その前に迎える8月27日、Rockstarは予定通り「An Extended Look」を公開するのか。そしてCyberleek側は、それまでにさらに新たな素材を出してくるのか。

発売まで約3か月。GTA6本編のマーケティングとは別の場所で、もう一つの追跡劇が進んでいる。


注記: 本記事は2026年8月22日時点の公開情報に基づく。Take-Twoが行ったと報じられているのは、MicrosoftおよびDiscordから情報を取得するためのDMCAに基づく召喚状手続きであり、Cyberleek本人に対する逮捕状や有罪判決ではない。また、召喚状に記載されたアカウント、Discordサーバー、コミュニティの存在は、その運営者や参加者がGTA6のリークに関与したことを意味しない。Cyberleekとされる人物・グループの正体や具体的な流出経路についても、現時点では公式に確定していない。本記事に掲載している画像はすべてAIで生成したイメージ画像であり、実際の法廷資料・流出素材ではない。