【追記・訂正】Cyberleek「捕まればGTA6を公開」は偽情報か――デッドマン・スイッチ騒動、その後判明したこと
GTA6のリーク事件が、さらにややこしい展開になってきた。
8月18日からGTA6の未公開ゲームプレイとされる映像を公開している「Cyberleek」が、新たに「自分たちが捕まった場合、持っているGTA6のデータが自動的に公開される仕組みを用意した」と主張している。
【8月24日訂正】 その後、この「デッドマン・スイッチ」に関する投稿はCyberleek本人によるものではなく、第三者による偽情報だった可能性が高いことが判明した。現時点でCyberleek本人がこの主張を行ったと確認できる根拠はない。
以下は、8月23日時点でどのような情報が出回っていたのかと、その後何が判明したのかの記録である。
当時は、
「俺たちを捕まえたら、GTA6をネットにばらまくぞ」
という趣旨の発言がCyberleek側のものとして広まり、大きく報じられていた。
画像: 内容を分かりやすく伝えるためのイメージ画像。実際の流出素材・法廷資料ではない。
ただし、ここで一番大事なことがある。
当時から、Cyberleekが本当にGTA6の完全版を持っているのかは確認されていなかった。本当に自動公開する仕組みを作っているのかも確認されていなかった。
そして8月24日、その「Cyberleek本人がそう言っている」という前提自体が崩れた。デッドマン・スイッチの発端となった投稿が本人のものではなく、第三者による偽情報だった可能性が高いと報じられたためである。
それでもこの話が一気に広まったのは、Take-TwoがちょうどCyberleekの正体を突き止めようと動き始めた直後に出てきた主張だったからだ。
まず、何が起きているのか
今回の事件を一度整理しておこう。
8月18日ごろから、GTA6の未公開ゲームプレイとされる映像がネット上に出始めた。流出を主張しているのがCyberleekだ。
その後も映像は増え、Jasonがゲーム内の壁に銃弾で「LEEK」と読める文字を作っている映像まで登場した。このため、Cyberleek側は昔の動画を持っているだけではなく、実際にGTA6の開発版を操作できる環境へアクセスしているのではないかと疑われるようになった。
ここまでは比較的分かりやすい。
問題は、その後だ。
Take-TwoがCyberleekの身元を調べ始めた。
Take-Twoは「誰が漏らしたのか」を調べ始めた
Take-Twoは8月20日、MicrosoftとDiscordに対して、GTA6リークに関係するアカウントの情報を開示するよう求める法的手続きを始めた。
画像: 内容を分かりやすく伝えるためのイメージ画像。実際の流出素材・法廷資料ではない。
欲しがっているのは、たとえばメールアドレス、IPアドレス、電話番号、端末情報、関連アカウントなどだ。
要するに、
「Cyberleekという名前の裏にいる、本当の人間を探したい」
ということだ。
Microsoftが対象になっているのは、Xboxだけが理由ではない。MicrosoftはOneDriveやGitHubなどのサービスも持っており、今回のリークに関係するデータやアカウントが使われた可能性がある。
Discordも同じだ。Cyberleekや関係者がDiscordを使っていたのであれば、そのアカウント情報や接続記録が身元特定の手掛かりになる。
Take-Twoはもう、ネットに出た動画だけを消そうとしているわけではない。
動画を出した人間そのものを探し始めている。
そこで「捕まえたら全部出す」という主張が広まった(※後に偽情報の可能性)
Take-Twoが追跡を始めた直後、Cyberleek側の新しい主張として次のような話が広まった。
【8月24日訂正】 この主張の発端となった投稿は、その後Cyberleek本人によるものではなく、第三者が作成した偽情報だった可能性が高いと報じられている。以下は当時報じられていた内容であり、事実として確認されたものではない。
当時の報道によれば、GTA6のデータはすでに複数の場所へコピーしてあり、一定時間ごとに本人が「公開しない」という操作を続けている、とされていた。
もし本人が捕まったり、パソコンを押収されたりして、その操作ができなくなればどうなるのか。
その説明では、GTA6のデータが自動で公開されるとされていた。
図: 当時Cyberleek側の主張として報じられていた仕組みを分かりやすく示すためのイメージ図。この主張自体が第三者による偽情報だった可能性が高いことが後に判明しており、実在が確認された構成ではない。
こうした仕組みは一般に「デッドマン・スイッチ」と呼ばれる。
名前だけ聞くと難しそうだが、考え方は単純だ。
たとえば24時間ごとにボタンを押さないと、予約しておいたメールが勝手に送られる仕組みを想像すればいい。
普段は本人が毎日「まだ送るな」と止める。しかし本人が突然操作できなくなると、止める人がいなくなり、そのまま送信される。
当時は、Cyberleekがそれと同じような仕組みをGTA6のデータに設定した、と報じられていた。
ただし、本当にそんな仕組みがあるのかは分からない
ここはかなり重要だ。
「完全なGTA6ビルドを持っている」とされる点についても、その証拠はない。
ゲームを操作しているように見える映像が出ているため、何らかのGTA6開発版へアクセスしている可能性はある。
ただ、それだけでは「GTA6全部を持っている」とは言えない。
開発中のゲームでは、特定の地域や機能だけを動かせるテスト用ビルドが存在することもある。Cyberleekが持っているものがそうした限定版なのか、本当にゲーム全体なのかは分からない。
同じように、「デッドマン・スイッチを作った」という話も確認できていない。それどころか8月24日には、この話の発端となった投稿自体がCyberleek本人のものではなかった可能性が高いと報じられた。
だから現時点では、
GTA6を操作できる環境を持っている可能性はある。
しかし、完全版を持っている証拠はない。
自動公開システムが存在する証拠もなく、そもそもCyberleek本人がそう発言したという確認も取れていない。
この3つを分けて考える必要がある。
「Take-Twoを脅している」と受け止められた理由(当時の見方)
ここから先は、デッドマン・スイッチの主張が本人のものだと考えられていた8月23日時点での見方である。前述のとおり、その出所自体が偽情報だった可能性が高いことが後に判明している。
Take-Twoは現在も、MicrosoftやDiscordから情報を集めてCyberleekの正体を探している。
画像: 内容を分かりやすく伝えるためのイメージ画像。実際の流出素材・法廷資料ではない。
そこへ、
「俺たちを捕まえたら、もっと大きな被害が出るぞ」
という状況を作ろうとしているように見える主張が現れた――というのが、当時の受け止め方だった。
もし本当に完全なGTA6がネットへ公開されれば、RockstarとTake-Twoにとっては当然大きな問題になる。
ただし、だからといってTake-Twoが簡単に追跡をやめるとは考えにくい。
ここで「ゲームを公開すると言われたので捜査をやめます」となれば、今後ほかのゲーム会社でも同じ方法が使えることになってしまう。
未公開データを盗む。
会社が追ってきたら「捕まえたら全部公開する」と言う。
それで追跡を止められるなら、企業側にとって非常に危険な前例になる。
そのため、仮にこの主張が本物だったとしても、Take-Twoが法的手続きをそのまま止める可能性は低い。まして発端が偽情報だった可能性が高いとなれば、なおさらである。
Cyberleekを捕まえるだけでは終わらない可能性もある
一方、当時報じられていた内容が仮に本当なら、Take-Two側にも難しい問題が残る、とも指摘されていた。
仮にCyberleek本人を特定できても、GTA6のデータがすでに複数の場所へコピーされていたらどうなるのか。
本人のパソコンだけ押収しても終わらない可能性がある。
別のクラウドストレージにコピーされているかもしれない。別の人物が持っているかもしれない。別の国にあるサーバーへ保存されている可能性もある。
つまりTake-Twoが本当に知りたいのは、
「Cyberleekは誰なのか」
だけではない。
「GTA6のデータはどこから漏れ、今どこにあるのか」
まで突き止めなければならない。
今回MicrosoftのOneDriveなどに関する情報まで求めていると報じられているのも、そのためと考えると分かりやすい。
「113GBのGTA6完全版」には注意
この騒動に便乗して、別の問題も起きている。
ネット上では現在、
「GTA6 FULL BUILD」
「GTA6 LEAKED BUILD」
「113GB」
などと書かれたファイルが出回っている。
しかし、一般ユーザーがダウンロードして遊べる本物のGTA6完全版が公開されたという事実は確認されていない。
つまり、「Cyberleekが完全版を持っていると報じられた」という話と、「ネットに落ちているGTA6という名前のファイル」は完全に別物だ。しかも前者については、その発言の出所自体が偽情報だった可能性が高いことが分かっている。
偽物にGTA6という名前を付けることは簡単にできる。100GB以上のダミーデータを入れて、本物っぽいサイズに見せることもできる。
さらに危険なのは、マルウェアだ。
「発売前のGTA6を遊べる」と思わせれば、世界中から大量の人がダウンロードする可能性がある。そのため、今回のリーク事件は悪意のあるファイルを配る側にとって非常に利用しやすい。
少なくとも現時点では、怪しいGTA6ビルドをダウンロードする理由はない。
最初は「ゲーマーの権利」を訴えていた
Cyberleekは、最初から単なるリーカーを名乗っていたわけではない。
彼らは「ゲーマーの権利のために戦う」と主張し、デジタル予約販売や物理ディスク、DLC、ゲームの所有権などを問題にしていた。
こうしたテーマ自体は、以前からゲーム業界で議論されている。
たとえばゲームをダウンロード版で購入した場合、本当に自分がゲームを「所有」していると言えるのか。サービスが終了しても遊べるべきではないのか。シングルプレイゲームなのに、オンライン接続を要求する必要があるのか。
こうした疑問を持つプレイヤーはCyberleek以外にも大勢いる。
ただし、
「俺たちを追えばGTA6を公開する」
という主張がCyberleekのものとして広まったことで、話はかなり変わってしまった。
一般論として、ゲーム業界への問題提起と、未発売ゲームを交渉材料として使うことは同じではない。
ただし今回に限っては、その「交渉材料として使う」という発言自体が第三者による偽情報だった可能性が高い。他人の名前を騙った投稿ひとつで、その主張の中身まで世界中に報じられてしまう――今回の件は、その危うさも示している。
8月27日の直前に起きている
そしてRockstarにとって最も嫌なのが、この事件のタイミングだ。
8月27日には、GTA6の「An Extended Look」が公開される予定になっている。
画像: 内容を分かりやすく伝えるためのイメージ画像。実際の流出素材・法廷資料ではない。
Rockstarが正式にGTA6を詳しく紹介する大きなイベントだ。
ところが、その直前にCyberleekが現れた。
ゲームプレイとされる映像が公開され、Take-Twoが身元特定へ動き、さらに「捕まればGTA6を自動公開する」という(後に偽情報の可能性が高いと分かる)主張までが飛び交った。
本来なら8月27日は、
「Rockstarが新しいGTA6を見せる日」
になるはずだった。
しかし今は、
「その前にCyberleekが何か出すのか」
という別の注目まで集まってしまっている。
Rockstarにとってリークが厄介なのは、秘密を知られることだけではない。
自分たちが「この日に、この映像を、こう見せる」と決めていた予定を壊されることにもある。
結局、今どこまで本当なのか
今回のニュースは情報が多いので、最後に整理しておこう。
確認されていることは、CyberleekがGTA6の未公開映像とされるものを複数公開していること、Take-TwoがMicrosoftとDiscordから関連情報を得るための法的手続きを進めていることだ。
一方、確認されていないことは、CyberleekがGTA6の完全版を持っているという話と、捕まった場合に自動公開される「デッドマン・スイッチ」が本当に存在するという話だ。さらに8月24日には、そのデッドマン・スイッチの発端となった投稿自体がCyberleek本人のものではなく、第三者による偽情報だった可能性が高いことが判明した。
つまり今の状況は、
Take-Twoは本当にCyberleekを追っている。
「追えば全部出す」という発言は、本人のものだと確認できていない。
完全なビルドを持っているかどうかも、依然として分からない。
これだけ覚えておけば、今回の事件の大筋は理解できる。
8月27日にはRockstarの「An Extended Look」が控えている。そして9月4日には、MicrosoftとDiscordに求められている情報提供の期限がやってくる。
「Cyberleekの言葉」とされたものが本物の脅しなのか、Take-Twoの追跡を止めるためのブラフなのか――今回はそれ以前に、その言葉が本人のものだったのかどうかから疑わしくなった。リーク事件そのものは続いているが、周辺で流れる情報の扱いには、これまで以上に注意が必要だ。
ただ、8月18日に始まった一本のリーク映像が、わずか数日でここまで大きな事件になったことだけは確かだ。
GTA6発売まで約3か月。本編とはまったく別の場所で、RockstarとCyberleekの攻防が続いている。
注記【8月24日更新】: 本記事は8月23日時点で報じられていた情報をもとに、デッドマン・スイッチについて「Cyberleek側の未確認の主張」として掲載した。その後、この情報の発端となった投稿自体がCyberleek本人によるものではなく、第三者による偽情報だった可能性が高いことが判明したため、8月24日に記事冒頭および該当箇所を訂正した。
現時点でCyberleekがGTA6の完全なビルドを保有していることや、拘束時にデータを自動公開する仕組みを用意していることを裏付ける信頼できる情報は確認できていない。ネット上で「GTA6完全版」「GTA6流出ビルド」などとして配布されているファイルについても、本物であることは確認されていない。本文中の画像はすべてイメージ画像であり(各画像のキャプションに記載)、実際の流出素材・法廷資料ではない。アイキャッチはRockstar Gamesが公開した公式スクリーンショットである。

