GTA6のNPCはどこまで進化した? 60万以上のアニメーション、立ち聞き・武器への反応まで判明

『Grand Theft Auto VI』の情報が公開されるたびに注目されるのが、Vice CityとLeonidaを歩くNPCたちです。トレーラーの時点でも、ビーチでくつろぐ人々、ナイトクラブの客、ジョギングをする住人、車のトラブルに見舞われる人など、街の密度は大きな話題になりました。しかしRockstar Northで行われたハンズオフプレビューと、その後の開発者インタビューから見えてきたのは、単純に「NPCの数が増えた」という話ではありません。

プレイヤーが会話を立ち聞きすれば気づかれる。武器を手に持てば距離を取られる。こちらから挨拶したり挑発したりすれば、その後の反応も変わる。RockstarがGTA6で作ろうとしているのは、背景を歩くだけの「通行人」ではなく、プレイヤーの行動を見て、それぞれが反応する「街の住人」なのかもしれません。

今回は、Rockstarの開発者が明かした内容に加え、TGG、El Rubius、MikeShowShaらがRockstar Northで見聞きした情報を整理し、現時点で分かっているGTA6のNPCシステムをまとめます。同じプレビューで判明した警察や車両盗難の仕様についてはExtended Lookだけでは分からないGTA6新情報まとめで扱っています。


GTA6には「60万以上」のアニメーション

まず数字として目を引くのが、GTA6で用意されたアニメーションの規模です。Rockstar North共同スタジオ責任者Aaron Garbut氏の説明として報じられている数字では、GTA Vは約5万5,000、Red Dead Redemption 2は約30万だったのに対し、GTA6では60万以上のアニメーションが制作されているとされています。

ただし、ここは誤解しないようにしたいところです。「60万人のNPCがいる」という意味でも、「60万種類のAI人格が存在する」という意味でもありません。重要なのは、NPCがさまざまな状況へ反応するとき、それを不自然に見せないための膨大な動きが用意されているということです。

そしてRockstarは、そのNPC制作のために専用の制作体制まで用意しています。


RockstarはNPCを作るためのチームまで用意した

Garbut氏によれば、RockstarはNPCの制作にライター、ディレクター、プロデューサーらを投入し、一人ひとりを「art-directed」するほど細かく作り込んでいます。その考え方は人物の外見だけではありません。部屋に誰がいるのか。その人物は何を飲んでいるのか。テーブルにはどんな跡が残っているのか。壁にはどんな家族写真が飾られているのか。場合によっては、その写真に写っている人物と実際に部屋にいるNPCの特徴やタトゥーまで一致するよう制作されているとGarbut氏は説明しています。

つまり「部屋を作ってから適当なNPCを配置する」のではなく、そこに暮らしている人物の背景まで考え、その人物に合わせて環境を作るという発想です。プレイヤーが普通にストーリーを進めるだけなら、一生気づかないものも大量にあるでしょう。それでも作るというところに、今回のGTA6が目指している世界の密度が表れています。


原点にあるのはRDR2のNPCシステム

この方向性はGTA6で突然始まったわけではありません。Rockstar North共同スタジオ責任者兼開発リードのRob Nelson氏は、RDR2でNPCとのインタラクションを当時できるところまで押し進めたうえで、GTA6ではそれをさらに発展させたと説明しています。

RDR2を遊んだ人なら、道ですれ違った人へ挨拶したり、挑発したり、そこから口論や喧嘩に発展した経験があるかもしれません。ただしRDR2の舞台は、西部開拓時代の比較的人口密度が低い世界でした。Rockstarが次に考えたのは、「この仕組みを現代の人口密集地へ持ち込んだらどうなるのか」ということだったようです。

人だらけのビーチ、繁華街、ナイトクラブ、ショッピングエリア。GTA6では、その規模でRDR2から発展したNPCインタラクションを動かそうとしています。


挨拶する、挑発する、そして喧嘩を収める

実際のインタラクションもRDR2から拡張されています。これまでのプレビューでは、NPCに対して「Greet(挨拶)」「Taunt(挑発)」などの行動が確認されています。状況が険悪になれば「Defuse(なだめる)」や「Provoke(さらに挑発する)」といった選択肢へ変化するケースも報告されています。

つまりNPCとのトラブルが発生したからといって、必ず銃撃戦や殴り合いになるわけではありません。自分から喧嘩を売ることもできれば、途中で収めることもできる。これが大量のNPCが存在するVice Cityで機能するなら、「街を歩いて知らない人へ絡む」こと自体が一つの遊びになりそうです。


NPCは「立ち聞き」されていることにも気づく

Rob Nelson氏が紹介した例の中でも、GTA6らしいのがNPC同士の会話です。街角でNPCが話しているところへ近づけば、その会話を聞くことができます。しかし、あまりに近づいたり、長時間その場で聞いていたりすると、NPC側が「こいつ、俺たちの話を聞いているな」とプレイヤーの存在に気づく場合があると説明されています。そこでNPCが警戒したり、攻撃的になったり、その場所から離れたりする可能性があります。

従来のオープンワールドゲームでは、NPCの会話はプレイヤーへ世界観を説明するための「再生されるイベント」になりがちでした。GTA6では、その会話を聞いているプレイヤー自身もNPCにとって世界の一部になります。


銃を持っているだけでも周囲の反応が変わる

NPCの進化が特に分かりやすいのが武器です。Rob Nelson氏はGTA Vを例に、人混みの中で突然ショットガンを取り出しても周囲が十分に反応しない従来の仕組みについて、GTA6が目指す世界の解像度や住人の行動表現では成立しなくなったという趣旨で説明しています。

GTA6では武器の「所持」だけでなく、どのような状態で持っているのかによってNPCの反応が変わります。拳銃は隠して携帯できます。長銃を背中に掛けているだけなら大騒ぎにはならない場合がある一方、手に持った状態で街を歩けばNPCが警戒し、距離を取り始めます。当然、銃口を向ければさらに状況は変わります。

GTA Vのように「プレイヤーが攻撃ボタンを押した瞬間に世界が反応する」のではなく、その前段階から周囲がこちらを見ているわけです。


NPC側からプレイヤーへ向かってくることもある

もう一つ重要なのが、GTA6ではプレイヤーだけが世界で暴力を起こす存在ではないことです。Nelson氏はNPC自身にも衝動があり、場合によってはプレイヤーへ危害を加えたり、武器を使って反撃したりする可能性があることを説明しています。

これはGTAにとって意外と大きな変化かもしれません。過去作では基本的に「プレイヤーが世界へちょっかいを出し、NPCがそれに反応する」という構造が中心でした。GTA6ではNPC同士の行動やNPC自身の判断から、プレイヤーが予想していなかった状況が始まる可能性があります。


ジムの近くには「ジムにいそうな人」がいる

NPCの違いは行動だけではありません。Rockstar Northへ招待されたイタリアのクリエイターMikeShowShaによると、GTA6では場所によってNPCの服装や雰囲気も細かく変化していました。たとえばジム周辺にはスポーツウェア姿のNPCが多く、JasonやLuciaの生活圏ではよりカジュアルな服装の住人が目立ったとのことです。

さらにジムでは、女性NPCがLuciaの外見について侮辱する場面があり、Luciaが相手を殴ると、その女性と一緒にいた男性が逃げていくという一連の出来事も確認したとMikeShowShaは説明しています。単純に「ジム用NPC」というモデルを置くのではなく、場所、服装、会話、周囲の人物まで含めて、その場所らしい状況を作ろうとしていることが分かります。


SNSで見た人物と、街で出会うことも

さらにMikeShowShaは、ゲーム内SNSで見かけた人物と、実際のLeonidaで遭遇することがあるとも説明しています。GTA Vにもゲーム内インターネットやSNSはありましたが、GTA6ではSNS上の世界と実際の街がより強く結びついている可能性があります。

SNSで見た「変な人」が、後日街を歩いている。あるいは街で出会った人物が、SNSでは別の顔を見せている。どこまで大規模に使われる仕組みなのかはまだ分かりませんが、Leonidaの住人を「その場限りのNPC」にしないための面白い仕掛けです。


NPCが落とした物にも触れられる

El RubiusがRockstar Northで見たデモでは、NPCへぶつかった際にスマートフォンや眼鏡などを落とす場面もあったとされています。ここで重要なのは、細かい物理表現そのものよりも、NPCの行動によって生まれた物体が、そのままプレイヤーのインタラクション対象になるケースがあることです。

この考え方を最も極端に表しているのが、TGGがRob Nelson氏から聞いた「犬のフン袋」の話でしょう。


「犬のフン袋を投げられる」が示しているもの

話だけ聞けば完全にGTAらしい小ネタです。街でNPCが犬を散歩させている。犬が排泄すると、飼い主が袋を使って片付ける。その飼い主へ何らかの干渉をして袋を落とさせると、プレイヤーはその袋を拾い、別の人物へ投げることができる――TGGはNelson氏からそんな例を聞いたと説明しています。

「GTA6では犬のフンを投げられる」という部分だけ切り取れば笑い話で終わります。しかしNPCシステムとして見ると、

犬が行動する → 飼い主が反応する → 物体が生成される → プレイヤーが介入する → その物体を別のNPCへ使う

という複数のシステムが連続しています。Nelson氏が別のインタビューで語った「複雑なシステム同士がつながっている」というGTA6の設計思想を、かなり分かりやすく示す例でもあります。


犬にも「Pet」「Scold」「Study」

動物についても、ただ街を歩いているだけではありません。プレビューでは犬に対して「Pet(撫でる)」「Scold(叱る)」「Study(調べる)」といったインタラクションが報告されています。Rubiusによれば、飼い犬と触れ合う際には飼い主とのやり取りが発生する場面もありました。

人間だけでなく、動物とその飼い主との関係まで含めてインタラクションが作られているようです。ただし「Study」が具体的に何を記録する機能なのかなど、まだ分かっていない部分もあります。RDR2の動物図鑑のような仕組みだと推測する声もありますが、現時点では断定できません。


「60万アニメーション=NPCのAIが60万倍賢い」ではない

ここまで読むと、「GTA6のNPC AIはとんでもないものになった」と考えたくなります。ただし、現時点では少し慎重に見た方がいいでしょう。

60万以上という数字はあくまでアニメーションの規模です。NPC一人ひとりが高度な生成AIで思考している、すべてのNPCがプレイヤーの行動を永久に記憶している、60万人分の固有人格が存在する、といったことが確認されたわけではありません。GTA6で重要なのはむしろ、プレイヤーとの距離、会話、場所、武器の状態、周囲で起きた出来事などをNPCが認識し、それに応じた反応を膨大なアニメーションで自然に表現することだと考えた方が実態に近そうです。


GTA Vの「通行人」から、Leonidaの「住人」へ

GTA Vにも大量のNPCがいました。RDR2では、そのNPCへ挨拶したり挑発したりできるようになり、住人それぞれが生活しているように感じられる世界へ大きく進化しました。そしてGTA6では、その延長線上にある仕組みをVice Cityという巨大な現代都市へ持ち込みます。

こちらが会話を聞けば気づく。銃を持てば警戒する。挑発すれば怒る。こちらから何もしなくてもNPC同士で何かが起きる。場所が変われば服装や行動も変わる。一つひとつを見れば小さな機能です。しかし、それらが同時に動いたとき、プレイヤーから見えるものは「NPCシステム」ではなく、自分とは関係なく生活しているLeonidaの住人たちになるのかもしれません。

Rob Nelson氏はGTA6について、複雑なシステムが自然につながることで、プレイヤーが「ゲームであることを忘れられる」ような体験を目指していると説明しています。60万以上のアニメーションという巨大な数字も、そのための手段の一つなのでしょう。

GTA6のNPCが本当にそこまで自然に動くのか。それを確かめられるのは、最終的にはプレイヤー自身がVice Cityの街へ降り立ったときです。


情報の確度について

この記事では、RockstarのRob Nelson氏・Aaron Garbut氏による説明と、Rockstar Northでハンズオフプレビューを見たTGG、El Rubius、MikeShowShaらの証言を中心に整理しています。プレビューで使用されたものは発売前の開発ビルドであり、細かな仕様やUI、NPCの反応などは製品版までに変更される可能性があります。また、クリエイターがRockstar Northで見聞きした内容については、Rockstar公式サイトで個別に正式発表された仕様とは区別しています。

GTA6 FEEDでは今後もRockstarの公式発表だけでなく、Rockstar Northへ招待された海外クリエイター・メディアの証言を継続的に確認し、新しいNPCシステムの詳細が判明した場合はこの記事を更新していきます。


注記: 本記事は、Rob Nelson氏・Aaron Garbut氏の発言を伝える報道と、Rockstar Northでハンズオフプレビューを体験したTGG・El Rubius・MikeShowShaらの証言をもとにGTA6 FEEDが整理したものであり、Rockstar Games/Take-Two Interactiveとは一切関係がありません。各氏の発言は翻訳・要約を経ているため、原文のニュアンスとは異なる場合があります。掲載画像はRockstar Gamesが公開した公式スクリーンショットであり、本文で説明しているNPCの挙動そのものを撮影したものではありません。