「GTA VI: An Extended Look」を見た ― ジェイとルー、そして光の話
お断り: この記事は、公式に公開された映像「Grand Theft Auto VI: An Extended Look」の内容に触れています。登場人物、場面、ゲームプレイの詳細を具体的に書いていますので、何も知らない状態で発売日を迎えたい方はご注意ください。
見終わってまず思ったこと
映像が終わって最初に頭に浮かんだのは、ストーリーの筋でもキャラクターの名前でもなく、「光」だった。
本記事に掲載している画像はすべて「Grand Theft Auto VI: An Extended Look」本編からのスクリーンショットである。
反射の仕方、差し込み方が、とにかくリアルなのだ。窓から入ってくる光、水面に跳ね返る光、夜のネオンが濡れた路面に伸びる光。景色を切り取ったワンカットだけを見せられたら、実写映像だと言われて信じてしまいそうなショットが何度もあった。ゲームの映像を見て「きれいだ」と思うことはこれまでにも何度もあったけれど、今回感じたのは「きれい」ではなく「本物っぽい」という方向の驚きで、この二つはたぶん似ているようで別物だ。
そして最後、すべてが終わったあとに出たテロップ。全編がPS5で撮影された映像である、と。あれを見た瞬間に、それまで頭のどこかにあった「まあプロモーション用に作り込んだ映像だろう」という保険が外れた。日本語字幕付きで最初から最後まで通して見られたのもありがたかった。
以下、見ながら取ったメモをもとに、気づいたことを書いていく。
物語は一本の線ではなく、ダイジェストだった
見る前は、トレーラーの延長線上でストーリーが一本つながって語られるものを想像していた。実際は違った。いろんなエピソードのダイジェスト、という感触に近い。
始まりはブービーのお使いだ。Jasonがレイモンドという人物のところへブツを回収しに行き、その最中にエルネストから「警察が踏み込んでくる」という電話が入る。そして実際に踏み込まれ、そのまま銃撃戦のプレイシーンへとつながっていく。ここで早くも、ムービーとプレイの境目がほとんど意識されない作りになっていることが分かる。
面白いのは、その後の流れだ。銃撃戦が終わると、ルシアとJasonの家のシーンになる。そこにCMが挟まり、車でのドライブシーンがあって、それからブライアン夫妻とのレストランのシーンへと移っていく。
つまり、エピソードとエピソードの間が、ぶつ切りの場面転換で繋がれているわけではない。銃撃戦の緊張のあとに、家があり、テレビのCMがあり、車で流す時間がある。この「間」の置き方を見ていて、これはストーリーやミッションをダイジェストで見せているのだな、と腑に落ちた。事件と事件のあいだにある日常を、ちゃんと挟んでくる編集なのだ。
その後も、ラウルに呼ばれて逃走の手助けをさせられ、強盗をやり、護衛の任務のような場面があり、人質に紛れている場面がある。時系列を追って一つの事件を見せるのではなく、複数のエピソードのおいしいところを、生活の断片で繋ぎながら並べていく構成だった。
おかげで「この二人がどういう順番で何をするのか」はほとんど分からないままなのだけれど、逆に「この街ではこれだけ多様なことが起きる」という幅の広さは、一本道のダイジェストより遥かによく伝わってきたと思う。そして家とCMとドライブが挟まるおかげで、その多様さが「ミッションのリスト」ではなく「一人の人間の生活」として見えてくる。
だから、この映像を「物語の予告」として見ると肩透かしを食らう。「世界と手触りの見本市」として見ると、情報量が多すぎて処理が追いつかない。私は完全に後者だった。
ジェイとルー ― 呼び名から見える距離
今回いちばん印象に残ったのは、実は派手なアクションではなく、二人の呼び合い方だった。
ルシアはJasonのことを「ジェイ」と呼んでいた。Jasonはルシアのことを「ルー」と呼んでいた。
Jason、Luciaというフルネームではなく、短く縮めた愛称で呼び合っている。これだけで、二人の間にある距離の近さが伝わってくる。しかも一度きりの言い間違いのような扱いではなく、自然に定着した呼び方として何度も出てくる。
さらに面白いのが、ドレクアンも二人を「ジェイ」と「ルーニー」と呼んでいた点だ。ドレクアンから見てもこの二人は「JasonとLucia」ではなく愛称で呼ぶ相手であり、しかも「ルー」ではなく「ルーニー」という、ひとひねり入った呼び方をしている。呼び名が人によって微妙に違う、というのは、その人物が複数の人間関係の中に置かれている証拠だ。こういう細部で世界の厚みを出してくるのは、素直にうまいと思った。
ルシアという人物 ― 髪型が語るもの
ルシアについて、映像を見ながら思わずメモを取り続けてしまったのが髪型だ。ストレートからウェーブまで、本当にさまざまなバリエーションが出てくる。数えられただけでも以下の通り。
- コーンロウ
- お団子
- ハーフアップっぽい髪型
- ポニーテール
- おさげ髪
- 白いボブ
- 黒いサラサラのボブ
七種類である。しかも「白いボブ」と「黒いサラサラのボブ」が別々に出てくるあたり、色まで変えている。
これがプレイヤーによるカスタマイズの幅を示しているのか、それとも物語の中で時間が経過していることを示しているのか、映像だけでは判断がつかなかった。ただ、コーンロウとポニーテールと白いボブが同じ人物として並んでいるのを見ていると、それなりに長い時間の話をしようとしているのではないか、という気はしてくる。ここは完全に私の推測でしかないけれど。
そしてもうひとつ、ルシアで痺れたシーンがある。人質に紛れながら、スマホでJasonに犯人の状況を伝える場面だ。自分は動けない、でも情報だけは外に出せる。あの状況で頭が回るというキャラクター性が、説明台詞を一切使わずに一つの行動だけで示されている。あそこはかなり熱かった。
もうひとつ、これも彼女の性格が出ていたと思うのが、ルシアが運転しながらJasonが後部座席に移動して銃で応戦するシーン。運転と射撃を二人で分担するという、二人組ならではの絵。ここは後述するUIの話ともつながってくる。
周りの人間たち
ブライアンは、夫妻でレストランに現れる。昔はずいぶんお盛んだったらしい、という話が出てくる、いわば「引退した先輩」的な立ち位置に見えた。
そのブライアンがJasonに「辞め時が肝心だ」と語るシーンがある。文脈からして、これは人生訓というより、強盗という商売について「引き際を見失うなよ」と諭している場面だと受け取った。
正直に書くと、あのやり取りを聞いた瞬間、ボニー&クライドのような結末になるのではという予感が一瞬よぎった。引き際を説く先輩が序盤に出てくる物語で、その忠告どおりに引ける主人公を私はあまり見たことがない。もちろん何の根拠もない直感なので、外れてくれてもまったく構わないのだけれど。
ラウルはスペイン語で話していた。そして、ルシアのことを「求めている人材だ」というような言い方をしていた。この言い回しが引っかかっている。求めている、ということは、彼の側に何かの仕事があり、そこにルシアを引き入れたいということだ。とすると、ラウルの方が雇い主で、二人とは雇う・雇われるの関係にあるのかもしれない。逃走の手助けを「させられていた」感じも、これと符合する。
そして、公式サイトのキャラクター紹介には見当たらなかった名前が、映像の中には何人か出てくる。ここは分かった範囲だけ書いておく。
レイモンドは、冒頭のブービーのお使いでJasonが訪ねていった相手だ。ブツを回収する先の人物、ということになる。
エルネストは、そこに警察が踏み込んでくると電話で知らせてきた人物。顔よりも先に声で登場する役どころで、この二人がいきなり冒頭に出てくるあたり、Jasonの生活圏の中にはこういう相手が普通にいるのだと分かる。
アンドレス・デ・レオンは金持ちの男性で、彼を護衛する任務のようなシーンがあった。人物像ははっきり描かれないのだけれど、佇まいや扱われ方からして、大きな企業のCEOあたりではないかという印象を受けた。金持ちを護衛する側に回る仕事がある、というのは、これまでの「奪う側」一辺倒とは少し毛色が違って見えて面白い。
そしてティーナという美しい女性。彼女がアンドレス・デ・レオンとの引き合わせをしてくれる。つまり、上流の人間と繋いでくれる立場の人物だ。街の底の方にいる二人が、なぜ企業のトップらしき男の護衛に関わることになるのか。その接続点にティーナがいる、という構図だけは見えた。
車に乗っているだけで楽しそう
映像を見ていて、いちばん「これは自分でやりたい」と思ったのがドライブだった。
まず、車に乗り込んだときにちゃんと車体が沈む。人ひとりぶんの重さが、サスペンションを通して車の姿勢に反映される。言われなければ気づかないかもしれない、けれど気づいてしまうと他が気になって仕方なくなる類のディテールだ。
そして走り出してからの映像が、本当に車に乗っているときの感覚に近い。景色の流れ方、車体の揺れ方。極端な話、これはドライブするだけで楽しめてしまうのではないかと思った。目的地に向かうための移動手段ではなく、走ること自体が目的になりうる乗り心地に見えた。
もちろん、穏やかな運転ばかりではない。カーチェイスのシーンもかなりリアルだった。レース要素も、車のレースからモトクロスまで確認できた。
そして印象的だったのが、強盗のあと、逃走に使った車を火炎瓶で燃やすシーン。火の回り方、そして炎に炙られて塗装が剥げていく様子が、ぞっとするほどリアルだった。あそこは物理演算というより質感の表現の勝利だと思う。
もうひとつ、笑ってしまったのが、盗んだ車のトランクに配信者が入っていて、ライブ配信をしながら逃走しているシーン。奪った車に人が積まれていた、というだけでも面白いのに、その人が配信中というのがいかにも今っぽい。この手のブラックユーモアが健在なのは嬉しかった。
暴力の手触り ― 強盗とガラスの話
強盗シーンは総じてリアルだった。そして強盗バッグは健在。あの見慣れたバッグが出てきた瞬間は、ちょっと嬉しくなった。
武器はピストル、ショットガン、アサルトライフル、そしてサブマシンガンらしきものが確認できた。
映像の途中で、割れたガラスの表現のためにエンジニアが3年をかけたという話が出てくる。3年という数字だけ聞くと「そこにそんなに」と思ってしまうのだが、実際にガラスが割れるシーンを見ると納得する。割れ方、飛び散り方、ひびの入り方が、明らかに「ガラスが割れる映像」として自然だった。3年かけたと言われたあとにその成果を見せる、という映像の構成も含めて、うまい見せ方だったと思う。
あと、中指を立てているシーンもあった。こういうところは変わらないな、と安心した。
UIと操作 ― 実際どう遊ぶのか
映像レポートとしては地味な部分だけれど、個人的にはここがいちばん食い入るように見てしまった。ゲームプレイの映像から読み取れた画面情報を整理しておく。
画面レイアウト
左下にミニマップ。手配度が上がると、赤と青で点滅表示になる。パトカーの回転灯を思わせる演出で、視線を落とさなくても状況が変わったことが分かる作りだと思う。
左上にHPらしきメーター。その下に青いメーターがもう一本。この青が何なのかは映像からは判断できなかった。
右上に手配度などの情報。手配度は星6つまで確認できた。その下に4つのアイコンが並んでいて、二人組らしきマーク、ハンガー、人らしきマーク、車のマーク、という並びだった。さらにその下に、装備している武器のアイコンと、弾の装填数が表示されていた。
星の下のあの4アイコンが何を意味するのかは、正直まったく分からない。ただ、ハンガー(=服)と車のマークが手配度のすぐ下に並んでいるという配置は、なんとなく意味ありげに見えた。
エイム
エイムのレティクルは、武器によって丸く表示されたりと、いくつかパターンがありそうだった。武器ごとに見え方が変わるということは、精度や拡散の違いが視覚的に示されているのだと思う。
ボタンプロンプト
ここがいちばん情報量が多かった。確認できたものを並べる。
- L1:死体から武器を漁る
- △:ノックする
- △:バッグを回収する
- 〇連打:ルシアが敵に押さえつけられている状態から逃れる(いわゆるQTE、クイックタイムイベント)
そして、車のドアの前で表示されていた選択肢が特に面白かった。
- △ SLIM JIM(車の解錠用工具、スリムジム)
- 〇 SMASH WINDOW(窓ガラスを叩き割る)
同じ「車に乗る」という行為に、静かに開ける方法と、手っ取り早く割る方法の二つが用意されている。そしてRでこじ開けていた。急いでいるときは窓を割ればいい、でも人目があるなら工具を使う ― という判断をプレイヤーに委ねる設計に見えて、これは相当良い。
そしてもうひとつ、私が「おっ」と声を出したのがこれだ。
- インタラクションプロンプト:急かす
- インタラクションプロンプト:手をつなぐ
手をつなぐ、である。銃を撃ち、車を燃やし、人質に紛れる同じゲームの中に、手をつなぐためのボタンがある。この落差こそが今回の映像でいちばん象徴的だったかもしれない。ジェイとルーの関係性を、システムのレベルで表現しようとしているように見えた。
遊びの幅 ― たぶん、めちゃくちゃ広い
映像の端々に、明らかにミニゲームやアクティビティらしきものが映り込んでいた。断定はできないけれど、以下は実装されているのではないかと思っている。
- 水泳
- バスケットボール
- スカイダイビング
- 筋トレ(L2とR2を押してバーベルを上げるらしい表示が見えた)
- スキューバダイビング
- 水上バイク
- カヌー
- 釣り
- 射撃場のような場所
筋トレのボタン表示まで見えてしまったので、これはかなり確度が高いと思っている。水泳・スキューバ・水上バイク・カヌー・釣りと、水絡みだけで5つある。舞台の性格を考えれば当然かもしれないけれど、水中と水上がここまで充実しているのは期待していい。
VRゴーグルらしきものも出てきた。ゲームの中でゴーグルをかけて何をするのか、想像するとちょっと楽しい。
動物は犬、イルカ、カモメが確認できた。イルカが出てくるということは、やはり水中には相応のものが用意されているのだろう。
街の要素としては、ストリップバーやクラブのシーンがあり、モノレールが確認できた。逃走の途中でメカニック(整備工場)に立ち寄るシーンもあった。追われている最中に車をどうにかしに行く、というのは、前述のHUDにあった車のアイコンとつながる話かもしれない。
広告と街の解像度
この作品の楽しみのひとつが街に貼られた広告やCMなのだけれど、今回もしっかりあった。
プレイリーサンドイッチボックスミール、たったの30000キロカロリーというCM。「たったの」で30000である。この一言だけで、この世界の何もかもが分かる気がする。
アングスティパンのCMもあった。薬のCMだろうか。名前の響きだけで既におかしい。
あと、街には日本人っぽいNPCもいた。群衆に混じっているだけなのだけれど、いろんな人がいる街として作られているのだな、と感じた瞬間だった。
まとめ ― 見終えて残ったもの
情報量が多すぎて、一度見ただけでは処理しきれなかったというのが正直なところだ。だから今回のメモも、髪型を数えたり、画面右上のアイコンを数えたり、われながら妙な方向に細かくなっている。
それでも、見終わったあとに残った感触ははっきりしている。
ひとつは、映像の説得力。光と、ガラスと、火と、沈むサスペンション。3年かけたガラスの話が象徴的だけれど、目立たない部分の作り込みが、全体の「本物っぽさ」を支えている。それが全編PS5で撮影されたものだというのだから恐れ入る。
もうひとつは、ジェイとルーの関係。呼び名の縮め方、運転と射撃の分担、人質に紛れながらのスマホ、そして「手をつなぐ」ボタン。この二人をどう見せたいのかが、映像とシステムの両方から一貫して伝わってきた。
そして最後に、ブライアンの「辞め時が肝心だ」という言葉が、どうにも耳に残っている。あれが単なる先輩の小言で終わるのか、それとも物語全体の伏線なのか。ボニー&クライドのような結末を思い浮かべてしまった自分の勘が外れることを、今のところは願っている。
注記: 本記事は「Grand Theft Auto VI: An Extended Look」を視聴しながら取ったメモをもとにした個人的な視聴記録であり、Rockstar Gamesの公式発表ではない。人物名の表記や台詞は日本語字幕にもとづく編集部の書き起こし・要約を含み、UIやミニゲームに関する記述には筆者の推測が含まれる。また、本記事に掲載している画像はすべて「Grand Theft Auto VI: An Extended Look」本編からのスクリーンショットであり、著作権はRockstar Gamesに帰属する。

