GTA6開発者解雇裁判、初日から新証言――Rockstarは「Discordでゲーム機能に言及」と主張

『Grand Theft Auto VI(GTA6)』の発売を約2か月後に控えるなか、Rockstar Gamesと元従業員をめぐる労働紛争が新たな段階に入った。9月10日、英グラスゴーの雇用審判所で、2025年にRockstarを解雇された元従業員らによる本審理が始まった。初日の審理では、解雇のきっかけとなったDiscordについてRockstar側からこれまで以上に具体的な主張が示され、GTA6を含む開発中タイトルの「ゲーム機能」に関する情報も話題に上っていたと報じられている。


Rockstarが問題視した「Room C」とは

今回の争いの中心にあるのは、元従業員らが参加していたDiscord上のチャットルームだ。Rockstarはこれを「Room C」と呼び、2025年10月中旬にその内容を確認したとしている。

Rockstar側が審理で提出した冒頭書面によると、Room Cには300人を超える参加者がおり、現役従業員だけではなく、元従業員、競合企業の関係者、ジャーナリストなども含まれていたという。同社は、ここで従業員らが会社や管理職について話していただけではなく、社内のセキュリティ手順やGTA6の開発状況、さらにはゲーム機能に関する情報にも言及していたと主張している。

Rockstarにとって、これは単なる社内への不満を書き込む場所ではなかったというのが今回の主張だ。同社は過去にも大規模な情報流出を経験しており、現在もサイバー攻撃や情報漏洩への警戒を続けている(発売3か月前に起きたリーク騒動はこちらの記事で扱っている)。そのため、発売前タイトルに関する情報が外部の人物も参加するDiscordで共有されることを重大なセキュリティ上の問題として捉えている。

特にGTA6ほど市場から注目されている作品の場合、未発表情報の流出はゲームのマーケティングだけの問題ではない。Rockstar側は、機密情報の漏洩が親会社Take-Two Interactiveへの市場の信頼や株価にも影響する可能性があるとして、情報管理の重要性を強調している。


元従業員側は「組合活動のための場所だった」と反論

しかし、元従業員とIndependent Workers' Union of Great Britain(IWGB)側の説明は大きく異なる。元従業員側は、問題となったDiscordは労働組合の組織化や労働条件について話し合うための場所だったと主張しており、Rockstarが示している「会社を中傷し、機密情報を漏洩していた」という見方を否定している。元従業員の一人も審理初日に、Rockstar側の主張について強く否定する姿勢を示した。

IWGBはさらに、組合への参加者が増え、団体交渉につながる可能性が高まっていた時期に解雇が行われたとして、機密保持違反ではなく組合活動を理由に従業員が狙われたと主張している。加えて、十分な懲戒手続きや不服申し立ての機会を与えないまま解雇したことや、組合活動に関わる従業員の情報を利用した「ブラックリスティング」にあたる行為があったとも訴えている。

Rockstarはこれを否定しており、一貫して「組合への加入や活動ではなく、機密情報を共有した重大な不正行為を理由とする解雇だった」と説明している。つまり今回の裁判で大きな争点になるのは、Discordで実際に何が共有され、それが解雇に値する機密保持違反だったのか。そしてRockstarが従業員を解雇した本当の理由がどこにあったのかという点だ。


34人が解雇、今回の審判に参加しているのは23人

ここは数字が複数出ているため整理しておきたい。2025年10月にRockstarから解雇されたのは計34人とされ、そのうち31人がIWGBのメンバー、残る3人はカナダを拠点として組合活動に関わっていた人物だったと報じられている。一方、今回グラスゴーで始まった雇用審判については、23人の元Rockstar従業員が原告として参加していると報じられている。

そのため「31人の裁判」と表現される報道もあるが、31人は主に英国で解雇されたIWGBメンバーを指す数字であり、今回の審判に実際に参加している人数とは区別する必要がある。審理は10月中旬まで続く予定で、元従業員側は復職、または補償などを求めている。


GTA6の「ゲーム機能」とは何だったのか

GTA6を追っている側として最も気になるのは、Rockstarが言及した「ゲーム機能」という言葉だろう。現時点の報道では、Discord上で具体的にどのゲームシステムについて話されていたのかまでは明らかになっていない。したがって、戦闘、NPC、車両、オンライン要素など特定の機能と結びつけることはできない。

また、Rockstar側が「ゲーム機能について話していた」と主張したことと、その内容が実際に重大な機密情報の漏洩に該当すると裁判所が判断することは別の話だ。現段階ではRockstarと元従業員側の主張が提示され始めた段階であり、どちらの説明が認められるかは今後の審理を待つ必要がある。ただ、審理が進むことで、Discordで共有されていた情報の性質やRockstar内部の情報管理体制、さらに解雇に至るまでの判断過程がこれまで以上に具体的になる可能性はある。


GTA6発売直前に続く異例の裁判

今回の裁判が注目されるもう一つの理由は、そのタイミングにある。GTA6は11月19日に発売予定で、今回の審理はそのわずか数週間前となる10月中旬まで続く見込みだ。世界で最も注目されているゲームの一つが発売を迎えようとしている裏側で、その開発に携わった元従業員とRockstarが法廷で争っていることになる。

現時点で、この裁判がGTA6の発売延期につながるという発表や確かな情報はない。そのため発売スケジュールと直接結びつけるべきではないが、今後の審理でGTA6の開発現場やRockstarの社内体制について新たな証言が出る可能性はある。

初日から「300人以上が参加していたDiscord」「競合関係者やジャーナリストも参加していたというRockstar側の主張」、そして「GTA6を含む開発中タイトルのゲーム機能への言及」という具体的な話が出てきた今回の審理。GTA6 FEEDでは、今後も双方の主張を区別しながら、裁判で新たに明らかになった事実を追っていく。


注記: 本記事は、英グラスゴーの雇用審判所での審理を伝える英国各紙の報道と、IWGBの公表内容をもとにGTA6 FEEDが整理したものであり、Rockstar Games/Take-Two Interactive/IWGB/各原告とは一切関係がない。本文中の「Room C」の参加者構成や共有内容、解雇理由に関する記述は、いずれも審理で示されたRockstar側・元従業員側それぞれの主張であり、審判所が事実として認定したものではない。解雇者数・原告数は報道にもとづく数字で、報道によって表記が異なる場合がある。掲載画像はRockstar Gamesが公開した公式スクリーンショットであり、本記事で扱っている裁判や関係者とは関係がない。